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セーフティリレーユニット

セーフティリレーユニットとは、非常停止や安全柵のインターロックなど、機械の電気による安全制御部分に使用する回路を内蔵したユニットです。従来であれば、セーフティリレーとリレーソケットを使用してお客様ご自身で配線されていたような回路を、1つのケースの中に収めてモジュール化し、安全規格の認定取得までしたものです。欧州(EU)では、安全制御部分にこのようなセーフティリレーユニットを使用することが半ば常識となっています。現在、国際安全規格の整備が進行しており、アメリカでも同様の流れとなりそうです。
日本においても、2001年6月に厚生労働省から「機械の包括的な安全基準に関する指針」が出されました。この内容は、国際安全規格に順ずるもので、我が国にも欧州(EU)と同様の動きが始まりました。
このような社会の動きの中で、セーフティリレーユニットを使用することで、以下のようなメリットがあります。

  • ■ 制御盤の安全回路設計を容易にすることができます。
  • ■ ユニット化されているので、安全機能を無効にするような改造を防ぎやすくなります。
  • ■ 盤内での省スペースを実現します。
  • ■ ユニットごとの交換が可能になり、保守を容易にします。

日本制禦機器(株)では、これらの基本的な機能に加えて、保守メンテの容易性をプラスしたセーフティリレーユニットを用意しています。
また、日本制禦機器(株)では、お客様の仕様にあわせた専用安全ユニットや、OEM品などを、ISO9001の品質管理のもと、設計、開発、試作、認定取得、量産のすべての段階でご提案させていただくことができます。お気軽にお問い合わせください。

欧州(EU)での
CEマーキングと第三者認定

現在、欧州(EU)に機械を輸出する場合、EU機械指令に基づいて、製品を各種規格に適合させる必要があります。メーカーが機械が各種規格に適合していることを自己宣言し、機械にCEマーキングをする必要があります。CEマーキングをすることで、欧州(EU)で製品を流通させることができます。しかし、CEマーキングは自己宣言で行われることから、客観性を確保するために、製品が関連規格に適合していることを、第三者機関に認定してもらうことができます。これらの認定を受けた場合は認定機関個々のマーキングをすることが出来ます。また、製品によっては、第三者の認定が強制される場合もあります。

安全の考え方

欧州(EU)で発達してきた安全の考え方では、「機械は故障する。人はミスをする。」ということを前提にしています。従来の日本の考え方では、機械は故障しないように設計したり、人がミスをしないように、教育訓練を行うことに重点を置いていました。しかし、これだけでは、限界があり、災害を撲滅することはできません。なぜなら、現実に、機械はいずれ故障し、人のミスはなくすことが難しいからです。
「機械は故障する。人はミスをする。」ということを前提に考え、「機械は、安全を確認された状態のときにのみ動作する。」ことが必要です。 現在、このような考え方に基づく、国際安全規格の整備が進行しており、アメリカや日本でも同様の流れとなってきています。

機械の設計

機械は、本質的に安全であるように設計する必要があります。例えば、人が手を挟まれてもケガをしないようなプレス機であれば、安全といえます。しかし、このような機械は、現実的ではありません。工作機械の様に、本質的に安全に設計できないような機械では、危険源を特定し、事故が起こった時にどの程度の被害が発生するかを査定し、必要な安全対策を行う必要があります。これを、リスクアセスメントといいます。
EN規格、EN954-1によるリスクアセスメントでは、想定される被害の程度に応じて、必要とされる安全対策をカテゴリーB、1、2、3、4の5つに分類しています。そして、必要とされる安全カテゴリーが4の設備においては、安全カテゴリー4の安全機器を使用しなければなりません。 また、安全カテゴリーが3の設備においては、安全カテゴリー3または4の安全機器を使用しなければなりません。つまり、必要な安全カテゴリー以上のカテゴリー認定を受けた機器を使用する必要があります。

機械は故障する

機械が故障した場合に、安全機能が低下しないならば、その故障は、安全の面では、問題がないといえます。機械が故障した結果、低い確率でかすり傷程度の災害が起こる可能性がある場合と、高い確率で、生命に関わる事故が起こる可能性がある場合では、対策は異なってくるでしょう。
また、単一の故障では安全機能が低下しなくても、複数の故障(故障の蓄積)で安全機能を失うことがあるかもしれません。 故障についてどこまで、想定するかについては、安全カテゴリーの要求事項やBIAのテストレポートを参考にできます。テストレポートには、部品ごとに想定しなくてはならない故障と、故障を想定しなくてもよくなる条件等について記述されています。 しかし、規格は改正されたり、第三者認定にあたっては、認定機関や担当者により見解が異なることもありますので、実際の設計にあたっては、具体的に、第三者認定機関にご相談されることをお勧めします。 日本制禦機器(株)のセーフティリレーユニットは出力リレーが二重化されており、万が一、片方のリレー接点が接点溶着などで開かなくなっても、もう片方のリレーで出力を開くようになっています。そしてこの場合、ユニットは、2度と再起動しなくなり、故障の蓄積を防止します。

人はミスをする

機械は、人がミスをしてもそれが直接災害に至らないように設計する必要があります。例えば、工作機械などでは、安全扉や安全柵、光カーテンなどを設置し、機械動作中に人体が危険源に近づけないようにします。そして、機械は、安全状態が確認されている時のみ動作するようにします。
ドリル加工機などは、加工中だけでなく、停止後の惰性回転などでも切削屑などが飛散したり人体が触れたりすると危険な場合があります。そのような場合は、回転が停止するまでは、安全扉が開かないようにロックするなどの対策が必要です。
非常停止状態にしても惰性動作で機械が動く場合は、
(非常停止状態にするのに必要な時間)<(人体が危険源に触れるまでの時間)
になるようにする必要があります。
非常停止状態にする場合、制御をかけて停止させた方が良い場合は、非常停止出力を遅延させることがあります。このような場合には、オフディレーユニットを使用します。
EN規格では、非常停止など即時出力を遮断する場合は、停止カテゴリー0、遅延などをさせ制御によって停止させる場合は、停止カテゴリー1と区別しています。そして、危険度の高い機械には、停止カテゴリー0の停止機能を備える必要があるとしています。
現実問題として、作業者が作業効率をあげるために、リミットスイッチなどを無効にしてしまうことがあります。このようなことが出来ないように、安全機能が簡単には、無効にされないようにしなければなりません。
以上のようなことを考慮し、市販されている、認定されたセーフティコンポーネントと当社の安全ユニットを適切に組み合わせて必要な機能を実現します。

安全カテゴリ(抜粋)

■ カテゴリーB
構成部分、制御システムの安全関連部および/または保護設備は予想される影響に耐えるように、関連規格に従って設計、製造、選択、組み立て、組み合わされること。
・不具合(障害)発生時、安全機能の喪失を招くことがある。
■ カテゴリー1
Bの要求事項が適用されること。
十分吟味された構成部分および安全原則を用いること。
・不具合(障害)発生時、安全機能の喪失を招くことがあるが、発生する確率はカテゴリーBより低い。
■ カテゴリー2
Bの要求事項および十分吟味された安全原則の使用が適用されること。
安全機能は機械の制御システムにより適切な間隔でチェックされること。
・チェックの間の不具合(障害)の発生が安全機能の喪失をまねくことがある。
・安全機能の喪失はチェックによって検出される。
■ カテゴリー3
Bの要求事項および十分吟味された安全原則の使用が適用されること。
安全関連部は次のように設計されていること。
・いずれの部分の単一の不具合(障害)も安全機能の喪失を招かない。
・合理的に実施可能な場合は常に単一の不具合(障害)が検出される。
・単一の不具合(障害)発生時、安全機能が常に機能する。
・すべてではないが不具合(障害)のいくつかは検出される。
・検出されない不具合(障害)の蓄積で安全機能の喪失を招くことがある。
■ カテゴリー4
Bの要求事項および十分吟味された安全原則の使用が適用されること。
安全関連部は次のように設計されていること。
・いずれの部分の単一の不具合(障害)も安全機能の喪失を招かない。
・単一の不具合(障害)は、安全機能に対する次の動作要求の時、またはそれ以前に検出される。それが不可能な場合、不具合(障害)の蓄積が安全機能の喪失を招かないこと。
・不具合(障害)発生時、安全機能が常に機能する。
・故障はやがて検出され、安全機能の喪失を防止する。

停止カテゴリ(抜粋)

■ カテゴリー0
機械操作器への電力を即時除去して停止する(制御されない停止)
■ カテゴリー1
制御された停止であって、機械操作器には停止をするための電力が供給され、停止後に電力が除去される。
■ カテゴリー2
制御された停止であって、機械操作器には電力を供給したままである。

機械にはそれぞれカテゴリー0の停止機能を備えること。カテゴリー1及び/又はカテゴリー2を備えるのは、機械の安全及び/又は機能の要求事項によって要求された場合である。カテゴリー0及びカテゴリー1の停止は、操作モードに無関係に作動し、カテゴリー0が優先すること。停止機能は関連回路への通電を停止し、関連の始動機能より優先すること。

参考文献

■ 「国際化時代の機械システム安全技術」
向殿政男 監修
安全技術応用研究会 SOSTAP  編
URL http://www.sostap.org/
日刊工業新聞社 刊 2000
■ 「機械安全(電気装置)/機能安全」実用マニュアル
関口 隆・佐藤吉信 監修
(社)日本機械工業連合会(社)日本電気計測器工業会 編
日刊工業新聞社 刊 2001
■ 「機械設計」2001年2月号
特集:国際安全規格の最新動向と機械設計
日刊工業新聞社 刊 2001

ご注意/免責事項

本資料は、当社の製品の説明のために作成されています。本資料に基づいての認定取得を保証するものではありません。認定取得に際しては、必要な最新の規格書に基づいてください。
具体的には、第3者認定機関にご相談されることをお勧めします。
尚、本資料の記載内容に誤りがあった場合でも、その結果生じた損害について当社は一切補償することはできませんのでご了承願います。
製品の仕様に関しては、便宜上掲載していますが、正式には納入仕様書等で提供されます。 本資料の内容は予告なく変更されることがあります。あらかじめご了承ください。

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